保育士を希望されている皆さんへ
入学の前に少しでも保育士の仕事や、どのような保育士が求められているかを理解して、
受験されることが望ましいと思います。
「保育士」の仕事というと、主に保育園の先生を思い浮かべます。
実際、多くの保育士が保育園で働いていますが、ほかにも、
病院や乳児院、母子支援生活施設、児童厚生施設、児童養護施設、知的障害児施設などの
児童福祉施設で働く保育士がいます。
ここでは、主に保育園の先生(保育士)について述べてみます。
そのほかの児童福祉施設や保育士の仕事については、カリキュラムの中に施設へ
の実習もありますので、入学してから学んでいきましょう。
1 保育園とはどんなところ
保育園は、「児童福祉法に基づき保育に欠ける乳幼児を保育することを目的とする
児童福祉施設」で、正式には保育所といいます。乳幼児の健全な心身の発達を図るため、
「養護と教育が一体となって、豊かな人間性をもった子どもを育成すること」を目的としています。
0歳から小学校就学までの乳幼児を保育の対象としており、
慣例的に0、1、2歳児を乳児、3、4、5歳児を幼児といいます。
保育時間は原則として1日8時間ですが、ほとんどの保育園では延長保育を実施しており、
1日10時間以上保育園で過ごすお子さんも少なくありません。
最近では、一定の条件のもとに、病気回復期にあるお子さんをお預かりする保育園や、
家庭にいるお子さんを一時的にお預かりする保育園も増えてきました。
保育園の入り口や看板に、「○○市△△保育園」「社会福祉法人○○保育園」「公認△△保育園」
と書かれているのを目にすることがありますが、いずれも国が定めた「保育所設置基準」
を満たした認可園であることを示しています。
このほかに、設置基準を満たしていない認可外保育施設もあります。
2 保育園の先生
保育園の先生はじめ児童福祉施設で保育に従事する者のことを、
かつては「保母」と呼んでいましたが、
児童福祉法の改正により現在では「保育士」となり、
平成15年11月29日から国家資格となりました。
保育士の資格が法定化されたことで、保育士の資格を持ち、
登録をした人しか保育士と名乗ってはならず、
専門職として大きな役割と責任が求められるようになりました。
保育士の業務として、これまでの「児童の保育」に加え、
「保護者に対する保育に関する指導」が定められています。
保育園がこれまで以上に子育て支援の役割を担うことが期待されているのです。
3 保育園の先生の1日
出勤:長時間保育により早番、遅番などローテーション勤務を
実施しているところが多くなっています。
朝のミーティングや引継ぎをしっかりと行い、
子どもたちを迎える準備や環境整備を行います。
登園:朝の出会いが快いスタートとなるよう、きめ細やかに応対します。
保護者の方が気持ちよく仕事に出かけられるよう、
必要なことを簡潔に伝え合い、温かい声で送ります。
子どもの心身の状態を確認しながら、身支度を指導したり、連絡帳を確かめたりして、
子どもがスムーズに園生活に入っていかれるよう援助します。
あそび:クラスにより活動は大きく異なります。
まずは、子ども自身が遊びたい、友だちや先生と関わりたいという
気持ちを受け止めて、子どもが安心して過ごせるようにします。
年齢、発達にあった子どもの遊びや活動を考え、環境を整えたり、
遊具や玩具を用意します。担任同士の伝え合いも大切です。
特に乳児クラスでは、心地よい無理のない生活リズムを心がけ、
一人ひとりの子どもの甘えや依存を受け止めながら、情緒の安定を図ります。
幼児クラスでは課題のある活動や自由な遊びを通して、
充足感、達成感を得ながら、子どもの自主性や意欲を育てていきます。
友だちとともに過ごす楽しさを味わいながら社会性を身につけていくことも大切です。
遊びや活動の後片付け、手洗いや排泄などの指導もします。
食事:給食やお弁当を楽しく食べます。食後は歯磨きの指導もします。
午睡:長時間保育園で過ごす子どもたちにとっては、
静かで衛生的な環境の中、十分な休息が必要です。
年齢や発達により異なりますが、昼食後、2時間程度眠れるようにします。
午後の活動:午睡から目覚め、おやつをいただいたあとは、
午前中の活動や遊びの続きをしたり、発展させたりします。
降園準備:子どもの身支度、持ち物、配布物などを確認します。
保護者への伝達事項等、必要に応じて引き継ぎをします。
降園:保護者の方に園での様子を伝えながら子どもたちを引き渡していきます。子どもの1日を
振り返り、「楽しかったね」、「また明日ね」という気持ちを伝え合います。
このほか、連絡帳や保育日誌を書いたり、保育室や園庭の清掃や
遊具や用具の点検、教材の準備、環境設定などをします。
保育計画の作成、保育記録の記載、職員会議などへの参加もたいへん重要です。
園内外での研修会等にも積極的に参加します。
4 保育士は遊びのプロです
子どもたちが瞳を輝かせ、夢中になって遊ぶ姿は素晴らしいものです。
たくさんの豊かな遊びを提供したり、遊びのヒントや動機付けを与えたり、
子どもの発見、発想を大事にしながら、
子どもたちとともに楽しむ遊び心を大切にしていきましょう。
鬼ごっこをしたり、ボール遊び、砂遊びをしたり。
散歩などでたくさんの自然に触れ、子どもの実体験を豊かにしていくことも大切です。
絵を描いたり、粘土遊びをしたり、身近なもので興味あるものを作ったり、
リズム遊びやわらべうた、楽しいゲームや表現遊びなど、たくさんの遊びを通し、
子どもたちの興味や意欲を引き出していきます。
5 保育園の一年
子どもの成長や季節感を味わいながら、一年の流れを大切にしていきます。
4月−新年度のはじまり。入園、進級を保護者の方とともに喜び、
期待と不安が入り混じる子どもたちの気持ちを受け止めていきます。
5月−こいのぼりを作って遊んだり、気持ちよい気候の中、
お散歩に行ったり、園外保育を楽しみます。
6月−保育参観や保育参加を通し、保護者の方に保育園の生活を知っていただきます。
虫歯予防のためのブラッシング指導や歯科健診があります。
7月−七夕の短冊に願い事を書いて飾ったり、プール遊び、水遊びを楽しみます。
お泊り保育をする保育園もあります。
8月−保育園には夏休みのないところがほとんどですが、通園する子どもが少ない日を中心に
保育者も順番に夏季休暇をとります。様々な研修会も開かれます。
9月−敬老の日にはおじいちゃん、おばあちゃんに手作りのプレゼント。
お月見をしたり、虫の音を聞いて秋の訪れを感じます。
10月−運動会、秋晴れのもと、思いきりからだを動かします。
家族の応援を受けて活躍する子どもたちに大きな拍手。
お芋ほりや園外保育も楽しみます。
11月−焼き芋、落ち葉、くぬぎ、どんぐり…秋の自然にふれながら、絵画や制作などに
じっくりと取り組みます。七五三もお祝いしましょう。
12月−お楽しみ会(クリスマス会)では、お友達と一緒に表現遊びや歌を披露します。
すてきなプレゼントが待っているかな。
1月−新しい年をお祝いしたあとは、こま回しやカルタ、凧揚げ、羽根つきなど、
正月遊びを楽しみます。
2月−鬼のお面を作って豆まきをしたり、寒さの中で息づく自然を発見したり。
真っ先に小さな春を見つけるのは保育園!
3月−ひなまつりをお祝いしたら、日差しや水が温かくなりました。
花が咲く頃には年長さんの卒園式。
みなひとつ大きくなって誇らしげな顔で巣立っていきます。
6 保育所保育の特色
保育園は、子ども達が生活し育つところです。
保育園は、養護と教育が一体となって、豊かな人間性を持った子どもを育成します。
保育園は、家庭や地域社会と連携を図り、保護者とともに子どもを育てます。
保育園では、子どもが健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境を用意します。
保育園では、子どもが遊びや活動を通し、自己を十分に発揮できるようにします。
保育所保育のガイドラインとなる「保育所保育指針」(厚生労働省)には「保育の目標」として
以下のように記されています。(第1章−1の?)
「子どもは豊かに伸びていく可能性をそのうちに秘めている。その子どもが、現在を
最もよく生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うことが保育の目標である。」
3歳以上の子どもの保育は、幼稚園と同様、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の
5つの領域にまとめられています。
3歳未満の子どもの保育は、生命の保持、情緒の安定を図り、
5つの領域に配慮しながら、より一人一人の状態を考慮して行います。
子どもの気持ちに寄り添いながら、よりよい経験が得られるような「環境を通して」保育をすすめていきます。
7 保育園の先生(保育士)の適性
明るい人、健康な人、子どもが好きな人、まじめで世話好きな人、
責任感のある人子どもの心の声に耳を傾けることができる人、子どもの心に寄り添える人
絵画、制作、音楽、文学、身体表現など、表現活動が好きな人、自然が好きな人
様々なものへの興味や好奇心が旺盛な人、チャレンジ精神があり意欲的な人
笑顔を絶やさない人、遊びの引き出しをたくさん持っている人……
豊かな資質が必要ですね。いくつ該当しましたか?
8 平均的な勤務条件
給与は、公立保育園、民間保育園で異なりますが、190,000〜200,000円
くらいです。賞与は年2回、4〜5ヶ月が最も多いようです。
勤務時間は保育園の開所時間により異なりますが、早番、遅番などのシフト制をとり、
長時間保育に対応しているところがほとんどです。
|