2020年9月21日(月)
日限り日記

 [武漢日記]
 昨日の読売新聞に「武漢日記」が紹介されている。評者の加藤聖文によればコロナ感染による都市封鎖という異常事態のなか、人びとの悲しみや怒り、助け合いの日々を記録したもの。65歳の方方が検閲に負けず毎日の出来事をネットで発信したものとある。
 文革世代の作家方方は行政への批判や責任者の追求の手を緩めない。しかしこの本は共産党政権批判でなく市民目線からの記録に過ぎないとある。
 面白そうだと思って中国語専門書店に手配したが原本は中国では発売されておらず、翻訳されたものが欧米、日本で発売されているのだそうだ。
 この辺が中華人民共和国現政権の肝の太くないところだ。統制国家は小さなところでも破綻すると体制が持たなくなるので小さなことに対しても神経質だが、習近平政権は中国得意の方策でコロナ禍を乗り切ったと公言しているのだから、さまざまな批判はあっても克服したという意味でこの本は発行させればいいと思うのだが。どうせ一度はブログなどで流されたことでもあるのだし。
 もっとも言論の自由を許す緩やかな共産主義国家が誕生したら、そのような新体制は制度疲労が生じていると言われる現今の民主主義国家にとっては脅威になるであろうが。
(当局が出版差し止めをしているのではなく、国内の批判が多すぎて方方が国内出版をためらっているというネット情報もあります)



  夫より子どもが頼り草の花
  
  
  
  

2020年9月18日(金)
日限り日記

 [銀行支店閉鎖]
 近くにある都市銀行の支店がATMは残して窓口を閉鎖することになったというので行員が連絡に来た。
 窓口は何に使っていますかと聞かれ、振込はネットで,税金の支払いもネット。ATMは使うが窓口は使わないといったら、閉鎖の理由は将にそれだとのこと。
 貸金庫は一つ先の駅にある支店に移るという。
 しかし貸金庫は家の近くにないのでは役に立たない。
 別の銀行に当たってみたら貸金庫の空きはあるが今同じような客が殺到している。場合によっては貸金庫の数を増設しようかと思っているとのこと。
 貸金庫の使用料は年額26,400円。窓口商売は減ってもいろいろな稼ぎ方はあるものだ。
 ちなみに、以前は定期預金をすれば貸金庫使用料が安くなったが、二年前から定期預金ではだめでこの銀行系列の証券会社で国債を買えば貸金庫の使用料が安くなると変更になった。
 もとより今回貸金庫がなくなるのならこの銀行の系列の証券会社で買った国債は売却し証券会社の口座も閉鎖することになる。
 また経済が少しずつ縮んで行こうとしているのか。
 
 ゆうちょ銀行の通帳の記帳をして帰る。最近知らないうちに預金が引き出されているということが起こるのだそうだ。何というお粗末な銀行システム。
 
 
   スクラムを押して天糸瓜となる頭
 
 
 

2020年9月14日(月)
日限り日記

[スマホの初期化]
 この前zoomを使って中国語の個人レッスンを受けたが、ホストでない方はレコーディングが出来ないし、ホストに自分の資料を共用してもらうことができないので困った。
 そこで昨日からzoomの使い方を勉強して自分の二つのパソコンで確かめ、今日は語学学校の事務局との間で実験してみた。そして大体これでいけそうだと分かった。
 先生がこちらの資料が見られなければコピーを取って先生宅に郵送するというアナログな方法によることになる。大変なことだった。
 昨日からJNB(ジャパンネットワークバンキング)を騙った詐欺メールがスマホに張り付くようになってスマホが使いにくくなった。ドコモに電話したら状態をくわしく聞いてくれてスマホを初期化するしか対策はなさそうだという。ウイルス除去会社に聞いて全てのアプリケーションのキャッシュを消去したが張り付きは治らない。
 どうもグーグルが関係しているようなので今日試しにグーグルアカウントを調整してみたら、どうやら迷惑URLは張り付かなくなった。なぜなったのか、なぜ治ったのか分からないがひとまず良かった。
 それにしても、ドコモが初期化以外に方法がないと言ったのは何だったのか。真に受けて初期化したらそのあとのアプリケーションやデータの回復が大変なことだった。
 新しい機器は便利だがうまくいかないと長時間振り回される。

 
  戦場ヶ原八州へ秋の風
  
  
  

2020年9月11日(金)
日限り日記

[最近の中国の小説]
 神保町には行けないので、内山書店と東方書店をネットで訪ねて最近の中国語の本の状況を調べる。
 一番の評判は劉慈欣の「三体」だが、既に第一巻は売り切れになっている。
 莫言がこの7月に本「晩熟的人」を出した。ノーベル賞受賞後初めての本だが、長編ではなく12の短編からなる本らしい。
 前に雑誌「収穫」で「故郷人事」が載っていたので読んだが、これも入っているらしいからこの種の短編の集合体か。それなら新しい刺激はない。この本は日本にはまだ入っていないが一応入ったら連絡してくれるよう東方書店に頼んだ。
 莫言は2012年ノーベル賞受賞後全く書かなくなってしまった、こういう人も珍しい。どうしたのだろう。
 閻連科の新作「她们」は「我与父輩」の姉妹編とのこと。「我与父輩」は素晴らしい随想だった。閻連科の小説もいいがそのどれをも凌駕する随想だった。
 そこで迷わず購入した。
 中国語の小説は読む楽しみと、分からないことを先生に学ぶ楽しみがある。あらかじめ読むのを予習と捉えると苦しくなるが、読む楽しみと捉えれば別である。そのために幸いい本に巡り会えたので再開するとするか、いい先生はいることだし。
 再開すれば2018年11月陳浩基「13/67」以来となる。
 
 
  月餅の重き月浮く中運河
 
 
 
 

 

2020年9月8日(火)
日限り日記

[中国語文法]
 二年ぶりに中国語の個人授業を受けるに当たって中国語の基礎をさっと復習した。使った教科書は以前に買ったが使っていない東大教養学部で1,2年生が使う教科書「基礎漢語」である。
 通読してみて改めてわかったのは、中国語は、ヨーロッパ語のような文法はないかあっても少なくて、あるのは語彙毎の使い方だということである。単語の使い方が中国語文法である。
 文法がないというのは、例えば、時制(テンス)がない。過去も現在も未来も同じ動詞で語尾変化がない。ラテン語系の複雑な語尾変化を考えれば学習には楽だが、しかし接続法などというのはないから微妙な表現は苦手な言葉とは言える。もっとも中国人に言わせれば「昨日」と言っておいて重ねて動詞で過去を示す(行く→行った)のは効率の悪い言葉であるということにはなる。
 単語で覚えというのは、例えば持って家に帰るは、“帯回家去”で、“帯回去家”ではない。“回家”(家に帰る)の使い方で覚えるしかない。
 この教科書は最後の索引ページには1400語が書いてあるがダブりもあるので500語を覚えれば中国語は読み書き話すことが出来る(ちなみに中国の中学生は5万語を覚えると聞いたことがあるが覚えているはずがない。いつか暗記していると言う漢詩を言わせてみたら誤りがあった)。500語がどういう使われ方をするかを学べば初級中級はクリアする。
 昔桑原武夫が中国語(漢文)は文法がないから日本の学校で勉強させるのは反対だと言っていたが、それでも今は第二外国語はフランス語やドイツ語よりも選択する人が多い。
 さて、今週の金曜日二年ぶりに話し好きの先生とZOOMで会うが話がスムースに出来るかどうか。
 一応話に出そうな単語はノートに書き出してみたが。

  
  家にゐて我が家にあらず秋高し
  
  
  
 

2020年9月5日(土)
日限り日記

 [横浜ベースターズ・ラミレス監督]
 いま新人野球評論家の宮本、和田氏が横浜ベイスターズラミレスの采配に厳しい評価を投げかけている。
 彼らが取り上げているのが二番バッターは小回りの効くバッターを置くべきであるというのと、ピッチャーの打順は九番であるべきで八番に置くのは間違であるという立場からの論である。そのほかにもっと緻密な野球をやれというのもあるが。
 二番バッターで言えば、柴田であるべきところを力はあるが小細工の効かない中井とか細川を置くのは間違いだという考えである。
 一方ラミレスの方は二番ソト、三番オースティンで成功したように二番バッターは強打者であるべきだという考えである。
  八番にピッチャーを置くのも長い経験からこれが一番良いとされてきたピッチャーは九番の信奉者からは欠点がありすぎる、ラミレスには考えがあるのだが。
 私が一番不思議なのは評論家歴の若い二人がなぜ今までの評論家と同じような評論しかしないのかという点である。具体的にはデータに基づく評論、AI的な評論が皆無である。ラミレスは自分でデータを分析するほどデータ野球が好きだと聞く。評論家もポストコロナの観戦のために斬新な評論をしてほしい。仮に二番に柴田を置けばこうなったはずだというのをシミュレーションして示して欲しい。ピッチャーの打順八番がなぜ悪いかデータで検証して欲しい。このためにデータ分析専門家と協力してもいいのではないか。
 ラミレスの野球は評論は出来ても解説は出来ないと彼らは言っているが、それは解説のツールを持ち合わせていないからだ。この試合は監督力の差が出たなどいう言葉で切って捨ててしまうのは自分の仕事を軽んじているだけである。野球のやり方にしろ評論のやり方にしろ、今までのやり方がいいと信じていれば将棋の藤井名人は生まれなかった。ラミレスは藤井名人と違って勝てていないという弱みがあるが。
 
 私はベイスターズのファンとしてラミレス監督に二人の評論家以上に納得できないことがある(その一番はこれだけ長くいながら日本語でコミュニケーションを取らないことだが)。しかし、ファンだからどのように楽しんでもいいとはいえ、結果を見てからあれこれ言うのでは自分で面白くない。
 

   竜胆(りんどう)(くわ)へネックストバッターへ




 

2020年9月2日(水)
日限り日記

[安倍首相の後継選び]
 中国人から、昨今派閥派閥と喧しいが派閥とは何かと説明を求められた。
 人間が集まればグループが出来る。目的を持った集団(ゲゼルシャフト)だがその目的の第一は猟官運動、と説明したが分かりにくそうだった。
 今日は菅官房長官を支持するとして、細田派、竹下派、麻生派の三派の会長が推薦の理由を述べるため揃って記者会見をやった。何のためにやったかと言えば公表することによって我々がいち早く推して流れを作ったということを明示して人事を有利に展開するためだと政治記者が解説していた。多分そうなのだろう。
 派閥の代表の話す内容も態度も完全にヤクザ集団ですね。誰に投票するかは会長に一任するという派閥さえあるのだから。
 間接選挙は人気投票になりがちな国民による直接選挙よりはましな首相が選べるという考えだが、ヤクザの親分の立ち居振る舞いから近代国家の首相選びという感じはしない。政治家は国民の水準を超えないという言葉があるが、このようなことを続ければ国民から必ずしっぺ返しが来ると思う。
 
 
  懸垂を大きく入道雲に伍す