[自然の暦]
國學院大學で野本寛一氏の「環境民俗学」の話を聞いて1年が経つ。話がとても面白かったので氏の著書の中から「季節の民俗誌」を買って季節が来ると読んでいる。氏は日本全国の自然歴を求めて歩いたらしい。
例えば卯の花。福島県、島根県、広島県など多くのところで、卯の花が咲いたら田植えという言い伝えがあるそうだ。
辛夷が咲いたら苗代打ちという言い伝えもあるそうで、氏は白い花が咲いて田んぼ作業が始まり白い米がとれる。白米の力を象徴し、予報するようだと言っている。
卯の花はほかに、卯の花の盛りがノボリマス盛り、カジカが卵を産むなどなどともある。
私の祖父は師範学校の博物の教師だったが自給自足生活が好きで農業にも取り組んでいた。人に聞いたり自分で経験したことを農家歴として残している。2月上旬早熟茄子播種、4年休栽などいろいろ書いてある。水田も耕したが水稲の項には特に記載がない。
卯の花と田植えはともに季語だがこの自然歴を読んだ句は見たことがなかった。しかし先日兼題が「田植え」の句会で初めてお目に掛かった。主宰の先生も高得点を付けられた。
卯の花もすがし黒田の早苗打ち 吉田**
私も次の句を出した。先生は勢いがあっていいと言われたがいかにも自然歴そのものであるかも知れない。
村中の卯の花咲けりいざ田植ゑ
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