[烏达巴拉]
量販店のカウンターに「烏达巴拉」という名札をつけた女性がいたのでどこの出身ですかと聞いてみた。内モンゴル(中国自治区)出身だとのこと。そうかモンゴル高原の空を飛んでいる鳥ということですかと聞いたら全然違うとのこと。モンゴル語の発音を漢字で書くとこうなるという発音の表記だそうだ。正しい名前は、といって書いてくれた字は、ここには記すことが不可能な字だった。世界でただ一つ縦書きの字だという。
モンゴルではどういう言葉が使われているのか。
大まかに言うと中国内モンゴル自治区、モンゴル共和国ともに会話はハルハ方言が主。書き言葉は中国内モンゴル自治区はモンゴル文字、モンゴル共和国はキリル文字らしい。キリル文字とはロシア語に似ているとのこと。ソヴィエト連邦の全面的支援によって中華人民共和国から独立したモンゴル共和国は書き言葉でもロシア語の影響を強く受けた。言葉の歴史は国の歴史の変遷を示す。
1910年(明治43年)日本は大韓帝国を併合し朝鮮総督府が韓国全土を統治した。総督府は全土に学校を作り文字を持たなかった民衆にハングルを教育普及させた(当時の上層階級は書き言葉では漢文を使っていた)。1941年太平洋戦争が始まり、韓国もおのずからオールジャパンで戦争に組み込まれ学校で朝鮮語授業が廃止された(百田尚樹「今こそ韓国に謝ろう」)。
百田は朝鮮総督府は日常会話で朝鮮語を使うことを禁止してはおらず、決して韓国人が言うように「言葉を奪った」ことはないと言っているが、現地人はどのように感じたか、争いはありそうだ。
鳥帰る猫は隣へ帰りけり
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