[猫の火葬]
ネットで動物の火葬を見ると「我が社は河原で焼くようなことは致しません」などという文章があるので恐れをなして行きつけの動物病院に猫の火葬所を紹介してもらう。バンで亡骸を取りに来たのは作務衣を着た人で、お寺のお坊さんだとのこと。今のお寺は人だけを扱っていたのでは成り立たないのかと思った。モネ子の眠る箱に、庭に咲くすみれ、水仙、サクラソウ、ハナニラなどあるたけの花を投げ入れて見送った。
翌日の朝、同じ人がりゅうとした服装でベンツに乗って骨壺を届けてくれた。才覚は身を助けるのか。亡くなってから49日間魂は此岸彼岸の間にいるのだから、それが済んでから埋葬してくれという話は人間の場合と同じ。猫と言えどもお寺さんに焼いてもらうというのは悪くない。
骨壺は600グラムになっていた。それを抱くと、3.6キロの若いモネ子、1.6キロに痩せたモネ子とはまた別のモネ子がいる。
時間が経てばモネ子が遊んだ庭に埋葬してやるつもりだったが、今は到底その気になれない。毎日朝晩抱いている有様だ。
食断ちて迎へ待つ猫すみれ草
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