2017年12月30日(土)
日限り日記

[退院後のモネ]
 カラーを着けさせられて退院したモネは、まったく途方に暮れているようだ。今まで通れた道が通れない。飛び上がれた高さに飛び上がれない。
 カラーを首に巻いている利点(傷をなめて悪くしない)とマイナス点(食事・就眠時の猫の負担、老い猫が自分の身体に起こった変化が理解できないでパニック状態になっている)を考えて、思い切ってカラーは付けないことにした。つまり多少治りが遅くても、気持ちよく生活させてやりたい。
 その結果、猫にも見守る人間にも平穏な時が戻ってきた。
 若い猫なら無理にでもカラーを着けさせて、傷口を早く治させる。しかし、17歳の老い猫には老い猫の余生というものを考えてあげないといけないと思った次第だ。
 猫も人間も同じこと。動物病院には適当に言っておこう。
 
 
 

2017年12月27日(水)
日限り日記

 [入院見舞い]
 動物病院の面会指定時間に、モネ子に会いに行く。
 妻が都合で行けないので一人で。モネ子は家にいるときは昼夜を分かたず妻にべったりである。夜妻と寝るときも、私のベッドには足もかけない。
 どうかなと思って覗いたが、一目見るなり鳴き叫ぶ。お尻の手術をしたので首にカラーを付けていて動きにくそうだが、委細構わずに鳴く。そして嬉しいときの仕草の、足踏みをし始めた。
 家ではほとんど食べなかったが、管理表に食欲+++と書いてあり食欲は十分だとのこと。手術をして膿を出したので気分がよくなったか。高齢の猫は入院しただけで体調を崩すことがあると聞いていたが、その心配はなさそうだ。
 面会時間の5分はすぐに来る。また明日ねと言ったら、また鳴き始めて、久しぶりに後ろ髪を引かれる思いをした。人間を見舞いに行くときよりも、言葉が交わせない分もっと情が深いかも。
 食欲が出てきたせいか、入院させたときよりも元気になっているようだった。これならすぐにどうかなることはなさそうだ。ひとまず窮地を脱した思いで家路についた。
 


2017年12月26日(火)
日限り日記

 [モネ子の入院]
 飼い猫のモネ子が入院した。
 モネ子は17歳。ここしばらく食が細かったが、二、三日前からほとんど食べなくなってしまった。そしてしきりにトイレに行きたがる。トイレは屋内と屋外でやるので正しくは分からないが大が出にくそうだ。
 そこでかかりつけの動物病院に連れて行った。血液検査では腎臓の数値が悪い。触診では猫にあって良く腫れたりする肛門線とは別のところに腫瘍が認識される。腫瘍の組織から異形組織があるようだ。腸に便は溜まっていない。
 猫の17歳は人間の80,90歳に当たる。モネチャンは外見も綺麗だし元気なのだが、年が年なので何があってもおかしくない。とりあえず腫瘍は切開し膿は排出したが、一週間は入院させて様子を見させて欲しい、という診断である。
 頭が撲られたようになった。先代のパー子は21歳まで生きて堂々と老衰死した。いわば我々の生き様の教師であった。てっきりモネ子も先代の道を歩むものと思い込んでいたが、これもまた別の生き様の教師であるのか。
 ひとりぼっちにしておくと寂しがるので、飼い主は必ず一日5分間見舞いに来て欲しいとのこと。
 思いがけない年末になってしまったが、モネ子には17年間ほんとうに良く遊んでもらった。飼い主としてモネ子に尽くすのは当然のことである。
 
 
 

2017年12月22日(金)
日限り日記

 [此花咲耶姫の霊験]
 シクラメンを買いに近所の花屋に行く。
 団地の北東の崖地にはやはり家が二軒建つらしい。ご近所の反対運動も万策尽きたか、規模の縮小で折り合ったのか。
 これで東京タワー、東京スカイツリーから羽田空港までがよく見える北東の視界が狭くなり、南東に見える初日の出、横浜港の花火、ベイブリッジの灯は、わずかに此花咲耶姫神社からしか見えなくなる。誠に残念。再開発されないから神社はありがたい。
 


2017年12月20日(水)
日限り日記

 [長い長い小説のはなし]
 黒田龍之介(言語学者)の「長い長い小説のはなし」(日経新聞「プロムナード」)は面白かった。
 彼は今年の前半はトルストイの「アンナ・カレーニナ」をロシア語で読んでいた。
 ・毎日続ける
 ・目標のページ数は決めない
 ・途中で辞書は引かない。必要ならばあとで引く。
 という方法で約5ヶ月かかって読了した。いまは、スタンダールの「赤と黒」を読むために仏単語帳とにらめっこをしている、とのこと。
 そしてこれからが大切なのだが、「外国語の読書は自分が楽しめばいいのだ。高得点を狙ったり、他人と競争をする必要はまったくない」。
 我が意を得たりの思いだ。これが俳句と違うところだ。しかし、外国語で長編小説を読む極意は、黒田の言う三原則にあるのではない。この原則は、自然にそうなるに決まっている。私もそうである。私の場合は如何に新しくて面白い小説を見つけるかだ。私は「アンナ・カレーニナ」「赤と黒」的な小説を読む気にはなれないので。
 というわけで、私は12月16日から中国語で陳浩基の「13・67」に取り組んでいる。今日いまもっとも気になっている作家の閻連科に毛沢東時代の中国を書いた「堅硬如水」(「硬きこと水のごとし」)という作品があることを知った。これは次回の候補に入れておこう。
 
 
 
 

2017年12月15日(金)
日限り日記

「今年度ミステリ-作品第一位」
 今年の「週間文春ミステリー」の海外部門第一位、「本格ミステリー」海外編第一位、「このミステリーがすごい」海外編第二位は陳浩基の「13・67」である。作者は香港に住んでいる作家で、原作は台湾で出版されていると聞いて早速神田神保町の中国書籍店に問い合わせたところ、1冊在庫があるという。台湾の出版物であるから、繁体字で縦書きとのこと。しかしすぐなくなりそうなので注文し、三日目には送られてきた。
 中国現代小説は2014年に閻連科の「炸裂志」を読んで以降、残雪の「最後的情人」、賈平凹の「老生」などを読んだが、余り面白くなかったので、面白い現代小説を探していた。新聞で横山秀夫や東山彰良らが褒めているのを半掛にしても面白そうだ。
 問題は繁体字、縦書きである。過去繁体字は大陸で出版禁止となった閻連科の「爲人民服務」を読んだが横書きだったのでほとんど問題なかった。余華の「十個詞彙裡的中國」は繁体字縦書きでかなり読みにくかった。でも多分大丈夫だろう。
 いつものように分からないところは中国の先生に聞くことになるが、今回は翻訳本があるのでそれで知ることも出来る。
 翻訳本を読むのに比べて時間はかかるが、でも過去の経験から言ってやはり原文で読んだ方が面白い。特に中国の本は中国語で読んだ方が何倍か面白い。同じ漢字文化圏の漢字による表現の差について考えることが出来るので。500頁の大作だが楽しみである。
 


2017年12月11日(月)
日限り日記

 [神保町から神田明神]
 久しぶりに神田神保町へ。すずらん通りの「キッチン南海」の行列は益々長くなっている。東方書店と内山書店という中国書籍専門書店を覗く。「論語」の朱熹の注釈の翻訳本が出ていたので心を動かされた。朱熹は南宋の大儒。後世、朱子と敬称、その学問を朱子学といい、江戸時代の儒学に多大の影響を与えた(1130~1200))。しかし、買うのは控えた。高いのと、すでに大家(日本人では安井小太郎、金谷治、宮崎市定、加治伸行、井波律子、ほかに中国の学者)の注釈本を持っているので。それらの本は朱熹の解釈(中国では新釈という)を参考にした上でその後の学説を採り入れて自分の注釈を書いている。ほとんどが、朱熹はこう言っているが、と説明している。いまさらそのご本家に先祖返りをするのは、という気持ちもある、私は「論語」研究をやっているわけではないので。
 東方書店で最近の中国の小説について少し話をする。私がここから取り寄せた莫言の近作の載っている雑誌「収穫」が並んでいたので、その作品「故郷人事」についてほんの少し話をした。これが中国本書店を訪ねる少しの楽しみである。
 すずらん通りの「文銭堂」で銭形平次最中を買い、お茶の水の楽器店街を通って聖橋から神田明神へ。お茶の水駅から湯島聖堂の前を通り本郷通りに到る銀杏並木はすっかり葉を落としていた。代わり道路が銀杏の落ち葉で真っ黄色になっている。葉は厚いから雨上がりの道はうっかりすると滑るので注意が必要だ。
 神田明神は、これから師走の大祓式が行われ、新年の年始客を迎える。構内は早くもその準備工事が行われているらしく、工事の音が甚だしかった。境内にある銭形平次の碑にも詣でた。まばらな客は半分ぐらいが外国人のようである。
 寒いのでお汁粉でも飲もうとしたが、いつも行く店には、フカヒレスープ屋になったという貼り紙が貼られていた。

 

2017年12月9日(土)
日限り日記

 [サッシュのロック破損]
 居間から庭に出るガラス戸(サッシュ)の留め金(ロック)が壊れかけている。この原因は分かっている。それは猫のせいである。
 飼い猫の出入り口は、一応北の洗面所の窓になっていて、いつも10センチぐらいは開けてあるのだが、猫は居間に人がいる限りそこからは出入りしない。かならず庭に面したガラス戸の前で、開けろと鳴く、出るときも入るときも。特に用事があると思えないときにも鳴くのは、つまり人を使ってみたいというわけだ。いやひょっとすると、お猫さまは閑な人間に仕事を与えてやっているつもりかも知れない。
 だからこのサッシュ戸だけ、レールも減って変な音がするし、ロックもがたがきてきたというわけだ。一日20回として二匹の猫を飼った38年間の開け閉ての回数(計算上は277千回)を考えればやむを得ない。
 いまは庭付きの家に住んでいても飼い猫を外に出さないという家が多いと聞く。弟の家もそうである。理由を聞くと、外が不潔だとか、車が危険だとか、真顔で言う。それでは人間さまはどうでも良いと言うのか。
 我が家の雌猫は近所で聞いて見る限り半径100メートルぐらいを領域としているようで、朝晩一回は見回りに行く。そのほかは気分次第で外で雨水を飲み、外で用を足し、自分よりも弱い生き物にちょっかいを出す。この他人の庭で用を足すのを問題視する人がいるが、飼い主も気にして善隣関係を保っているのです。この程度のことで猫の宇宙を奪うことは可哀想なので到底家に閉じ込めるわけにはいかない。しかも、ご機嫌を損なわないようにドアの開け閉ての仕方にも気を遣う有様だ。
 今回はとりあえずあまり使わないガラス戸とロック部品を取り替えることで問題を解決した。
 
 
 

2017年12月7日(木)
日限り日記

 [Windows10アップグレード]
 パソコン(Windows10)が自動アップグレードによって、バージョン1709にバージョンアップされた。
 今のところ非常に使い勝手が悪い。立ち上がりから入力まで、すべてまごまごとやっている感じで、遅くなった。元に戻せるのだがしばらく我慢して使ってみることにする。
 ところで自動アップグレードの最中に「buffaloのturbo pc exseriesをアンインストールして進めよ」という警告が出たから、コントロールパネルかアンインストールしたが、進めない。Buffalo社に電話で問い合わせた。Buffalo社は製品は良いが電話カストマーサービスは恐い。下手なことを聞くと馬鹿にされる。果たせるかな「Cドライブ直下のbuffaloファイルを右クリックして削除して下さい。再インスト-ルするかどうかはお客様の判断です」という無駄のないご指示。「Cドライブにはいろいろファイルがありますが」「ですから“直下”と申し上げました」。ご迷惑をおかけします、などという言葉はもともと期待していないが。
 その結果アップグレードは成功した。
 念のためインターネットで調べてみたら、同じ回答が出ていた。私の知り合いは、スマホを買ったが使い方を聞くには通信会社のカストマーセンタや販売店の窓口よりもインターネットで調べる方が、馬鹿にされないし、よほど気持ちよく調べられると言っていた。
 人間が親切なのは、仲間内か同じ知識を持った人の内だけなのか。ロボットに相談する需要は、今でも多いに違いない。
 
 
 

2017年12月5日(火)
日限り日記

 [今年新調したもの]
  内装屋が、寝室のカーテンと玄関廊下の壁紙の見積もりを持って来た。家も古いし替えなくても良いのだが替えるとしたら今年がきっと最後の機会になるだろうという気もしている。
 
 今年新調したものは次のごとし。
 スマホ
 電気シェーバー
 眼鏡
 カーテン
 玄関廊下壁紙
 
  新しく加えたものは皆無で、みな交換したものである。つくづく進歩がない。強いて言えばスマホは4年前のものに比べて大いに機能が強化されたから新しいデバイスだと言えないこともないが。
  こうなるとやはり俳句を作るとか本を読むとか旅行をするとかは偉大である。句作りや読書、旅行は確実に新しい知見体験を与えてくれる。物を買い換えてもいささかも自分を「新調」してくれない。